新・人間革命第9巻を学びましたので、印象に残った部分を抜粋します。
新・人間革命 第9巻「鳳雛」の章から
●聖教ワイド文庫版 p.169(以下同)
高等部員の大多数は、いわゆる「学会二世」で、親が先に入会し、いつの間にか、自分も信心をするようになっていたというメンバーであった。したがって、信心で生活苦や病苦を乗り越えたといった、自分自身の体験をもっている人は少なかった。
そうした世代が、仏法への確信を深めていくには、教学を身につけることだ。教学という理は、信を生み、高められた信は、さらに仏法への理解を深めていくからである。伸一は、高等部員の本格的な成長を図るために、年明けから、毎月、御書の講義を行うことを決意したのであった。
●p.176
「(中略)大聖人亡きあと、なぜ、日蓮教団は分裂していったか。それは、日興上人を中心に、団結することができなかったからです。人間は、年とともに、権力に心を奪われ、自分の地位、立場などに強い執着心をもち、名聞名利に流されていく。『自己中心』になっていくものです。すると、信心をもって、団結することができなくなる。それでは、どんな学会の役職についていたとしても、信心の敗北だ。信心というのは、結局は、この『自己中心』の心との戦いなんです」
●p.188
(ポリオ(小児まひ)の後遺症で片足が不自由な、鳳雛グループの女子メンバーが思いあぐねたような様子で尋ねたのに対して)、伸一の厳しい叱咤が飛んだ。
「信心は感傷ではない。泣いたからといって、何も解決しないではないか!」
緊張が走った。室内は静寂に包まれた。伸一は、彼女を見すえながら、強い口調で語り始めた。
「あなたには、御本尊様があるではないか! 迷ってはいけない。ハンディを嘆いて、なんになるのか。いくら嘆いてみても、事態は何も変わりません。
(中略)
使命に生きていこうとすることは、理想論を語ることではない。観念の遊戯ではない。足もとを見つめて、現実を打開していくのが信心です。困難を乗り越えていく姿のなかに、信心の輝きがある。いかなる状況下にあっても、誰よりも力強く、誰よりも明るく、誰よりも清らかに生き抜き、自分は最高に幸福であると言い切れる人生を送ることが、あなたの使命なんです」
工藤は、唇をかみしめ、何度も、何度も頷(うなず)いた。
「そうだ。負けてはいけない。何があっても、負けてはだめだよ。強くなれ! 頑張れ! 頑張れ! 頑張るんだよ」

諸君の成長こそ、学会の希望であり、日本の、そして全世界の黎明を告げる暁鐘である。 (「鳳雛よ未来へ羽ばたけ」より)
●p.192
鳳雛たちの目は輝き、誓いに燃えていた。伸一は思った。
”今は皆、純粋な気持ちで、私とともに広布に生き抜く決意を固めている。しかし、信仰の道は厳しい。難もある。さまざまな誘惑もある。どれだけのメンバーが、一生涯、同志を裏切ることなく、信心を貫けるだろうか……。だが、まことの弟子が、一人でもいればよい。その一人が、広布の永遠の流れを開くはずだ。願わくは、全員、一人も漏れなく、この世の自らの使命を果たし抜いてもらいたい”
最後に彼は、念を押すように言った。
「どこまでも、私と一緒に進もう。絶対に、信心から、学会から、離れてはいけないよ」
黄金の思い出を刻んで、初の野外研修は終わった。
●p.202
そこには(伸一が揮毫した色紙の複製には)、彼の「若き日の日記」の一節が、毛筆で認められていた。
「未来生涯
いかなる苦難が打ち続くとも
此の師に学んだ栄誉を
私は
最高最大の幸福とする」
そしてその脇には「私と歩みを共にしゆく友に」と記されていた。
●p.205
(定時制鳳雛会への指導のなかで)
「はい!」
元気な声が響いた。すると伸一は、意外なほど厳しい口調で言った。
「返事は簡単です。決意することも簡単だ。口先だけの人を、私は、たくさん見てきた。信心は実証です。持続です。まことの時に何をなしたか。また、生涯を通して、何をなしたかです。諸君は、本物の勇者だったと、讃歎される人になってもらいたい」
厳父の指導であった。最後に、伸一は、つぶやくように語った。
「私は嬉しい。今日は、本当に嬉しい。私も夜学、戸田先生も夜学だった……」
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