いつまで戦争を続けるのか -疑問(3)

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【3】

大国という範を示す立場にありながら国際秩序を乱し、戦争を仕掛けて民間人を含め大勢の犠牲を出した罪悪は、決して免れるものではありません。そのうえで、双方の国の最高指導者自らが交渉のテーブルに着くことは非現実的ですから、その代理人が一日も早く交渉を始めることが必要だと強く思います。ロシアに普通の交渉は成り立ちにくいといいます。しかし万難を排して対話を重ねていってもらいたい。双方に信頼の厚い第3国が仲介することも、さらに強力に進めるべきです。

 

お互いに主張するべきは主張し、条件を提示し、妥協あるいは譲歩すべきは妥協・譲歩し、何よりも戦闘の平和的な停止とロシア軍の撤退を急がねばならない。その際、近い将来に次の戦争の火種を残すような交渉に終わってはならない。

 

ロシアという国は大国でありながら、歴史上常に他国の脅威に晒されてきたそうです。(大国といっても、ロシアの面積は世界最大で世界の13%を占めますが、人口は1億434万人と日本と余り変わりません。ちなみにウクライナの人口は4,379万人です) 近くを見てもナポレオン軍の侵攻では一度モスクワを明け渡し、冬将軍の力もあってナポレオン軍は結局退却しました。第二次世界大戦ではナチス・ドイツ軍がロシアに攻め込んできて、スターリングラード(現ボルゴグラード)という都市が900日間にわたってドイツ軍が包囲するも、最後はソ連軍が勝利します。

 

この独ソ戦は1941年6月から1945年5月までの、約4年間、1,416日間にわたる戦争であり、その犠牲者はソ連だけで民間人を含めると2,700万人とも言われます。ソ連の軍人・民間人の死傷者の総計は第二次世界大戦における全ての交戦国の中で最も多いばかりか、人類史上全ての戦争・紛争の中で最大の死者数となったそうです。(このことはナチス・ドイツの攻撃の激しさもあったでしょうが、ソ連軍司令部の人命を軽視した兵員の用い方にも、原因があったようです) ほとんど全てのロシア人家庭において、独ソ戦で殺された親類縁者が1人もいない家庭はないそうです。こうした歴史から見ても、ロシアは周辺国の動きに、普通以上に敏感なのだそうです。

 

→[資料1] 独ソ戦

→[資料2] スターリングラード攻防戦

 

それにしてもソビエト連邦は1986年に始まった「ペレストロイカ」により民主化の道を歩み始めたはずです。NATOに対峙したワルシャワ条約機構も1991年に解散したはずです。しかしプーチンを代表とするロシア首脳部の頭の中では、上に述べた歴史や安全保障上の理由から、冷戦は依然と終わっていなかったのかもしれません。

 

→[資料3] ウクライナとロシアの歴史-1

→[資料4] ウクライナとロシアの歴史-2

 

ウクライナが世界有数の穀物輸出国であることから、アフリカ等の最貧国での飢餓も懸念されています。また、世界の石油シェアにおいてロシアの産出量は12%にのぼり、アメリカ、サウジアラビアに次ぐ世界第3位です。ロシアからの石油・ガス等のエネルギー供給停止が、世界のエネルギー供給を不安定化させ、ひいては異常な物価高をもたらしています。

 

西側先進諸国の指導者は、こう言うかもしれません。「もう少しの辛抱だ。ロシアはいずれ音をあげる。今は団結だ、耐えるのだ」と。自分も西側諸国の一員として、それに反対などするつもりはありません。でも、戦争はいいことなんか一つも無いです。とにかく早く当事国が交渉を重ねて、平和を取り戻してもらいたい。そう願うのは、誰しも共通の願いではないでしょうか。

 

平和は世界の人々の共通の願い

 

(R5.10.22 動画へのリンクを2つ追加しました)

 

 

 


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