本因妙の仏法

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本因とは、仏が成仏した根本の因のことである。この本因は、思議することができない境涯であるので妙という。結論を言えば、釈尊等の三世十方のあらゆる仏が成仏した本因は、寿量品の文底に秘沈された南無妙法蓮華経を信受・実践したことにある。これを我々の修行・生活に約して言えば、時間的惰性の連続をいったん断ち切り、行動と生命の因果を劇的に変革することと言えよう。このことを詳しく述べる前に、御書を拝してみよう。

心地観経に曰く
「過去の因を知らんと欲せば其の現在の果を見よ
 未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」等云云
(御書231㌻)

この御文にあるように、今の自分の姿は、あくまで自分が過去に身口意の三業で為してきた行動の結果の現れである。また未来に自分がどうなっているかを知りたければ、今この瞬間・瞬間に何を為しているか、どういう因を積んでいるかを見ればよいのである。

誰しも過去に縛られ、過去の延長線上に生きていると言える。「今までこうだったのだから。もう変えられない」と、無意識のうちに諦めに支配されている。こうしていつの間にか惰性の日々を送り、ふと気づけば長い年月が過ぎ去っており、何事を成すこともなく、本当の生命の充実のない、名聞名利にとらわれた浅はかな生を送っている。

では、仏法の知見では克服の方途をどう説いているかというと、釈迦仏法では、あなたが今不幸なのは、過去に悪業を積んだからだ。それを、生まれては死に、生まれては死に、を繰り返して、少しずつその悪業を消して善業に変えていくしかない、と説く。あたかも砂上の城を作っては崩し、作っては崩ししているようなものだ。こうした歴劫【りゃっこう】修行は末法の凡夫には無意味であり、そこには絶望しかないのである。

これに対して、大聖人の本因妙の仏法は、希望の哲学であり、究極のポジティブ思考である。過去は問わない、過去がどうあれ、大事なのは今なにを為すかだ。今の勇気ある行動が未来をつくるのだ。この「自分の運命を自分で切り開いていく」との強き自律性こそ、本因妙の大きな特徴の1つである。このことは様々に表現できよう。

「すべてが今この瞬間から始まる」
「運命はどうにでも変えていける」
「自分だけに限らず、地域・世界の変革も、自己の一念の変革から始まる」
「希望をつくりだすのは他の誰でもない。自分こそその主体者だ」

末尾に、数年前の大白蓮華に載っていた指導を紹介する。

壮年幹部が手を挙げて立ち上がった。
「池田先生はよく、『本因妙』と言われますが、どのような意味でしょうか?」
教学の質問であった。

池田会長(当時)の話は常に説明や理屈だけでは終わらない。心を開き、指針を示し、具体的である。
 「私たちの生活の上で見れば、”もうこれでよいのだ”とあきらめたりしないで、いつも価値創造をしていく。人生を希望に燃えて進んでいく。そのような生き甲斐のある人生、その一念が、本因妙という意味になるのです。たとえばーーー」

会長の話はわかりやすい。
 「女子部のある人が区長になったとします。その人が”もう私は区長になったのだから、これでよいのだ”と決めた場合は『本果』です。”区長であるけれども、最高の区長になろう”。また、”区長になったのだから、より深い信心に立てるまでがんばろう”と努力する。または、”自分は今講師だ、教授になるまで教学の勉強にがんばろう”ーーーこの”どこまでも、がんばっていくのだ”という一念が、本因妙の心掛けであり、本因妙の仏道修行になるのです」

停滞・慢心という「本果」への捉われを打ち破って、常に「本因妙」の一念に立って、成長の節をこれからも刻んでいく決意である。
(令1.12.5 一部修正しました)

 

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コメント

  1. 王者の剣 より:

    レオさん
    お久しぶりです。ブログをやめられたのではなく、お休みだったのですね。現当二世、過去は問わない・・・ありがたいことですが、人間は宿業に出会うと、過去世の報いだと思い、凹みますね。そこをポジティブに変えゆくのは、信心で幸せになれるという「希望」ではないかと思います。日々、発心で人に希望を与えられる人になっていきます。地区の婦人部のために、任用試験のドリルを拝借いたしました。あと5日、今日も婦人部の幹部さんに入ってもらっています。私は祈るのみです。(笑)

  2. Leo2014 より:

    王者の剣さん、お久し振りです。ブログ上の進退が不明確でした。少し休んでみるとまだ書きたいことが残っているのに気付きました。

    信心で幸せになれるとの「希望」こそ一念変革の根本との仰せ、もっともだと思います。

    任用は男子・学生と2名に関わらせて頂いてます。若いこれからの人材育成に関わらせてもらえることが、身に余る喜びです。
    ドリルを婦人受験者のために活用頂き光栄です。私もしっかりと受験者へ題目を贈っていきます。

    時局が大きく動きました。大勝利目指し確実かつ迅速に歩みを進めます。今後とも宜しくお願いします。