武器を捨てよ! -私の所感

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「武器を捨てよ!」とは女性平和運動家の先駆者であり、ノーベル平和賞創設の契機をつくったとも言われる、ベルタ・フォン・ズットナーの著作名である。

 

 

 

ダイナマイトの発明によってアルフレッド・ノーベルは巨万の富を築いた。だが、自分の発明が戦争に使われたことにより、死傷者が従来の戦争に比較にならないほど増加した。これを悔いたノーベルは晩年、築いた財産のほとんどを使って財団をつくり、人類の進歩発展に顕著な貢献をした科学者や文化人を顕彰するためにノーベル賞を創設したのである。

 

ズットナーはそのノーベルの秘書を短期間だが務め、その後も2人の親交は長く続いた。平和運動家として世界を駆け巡ったズットナーの影響を受けたノーベルは、当初つくる予定のなかった「平和賞」を創設する。そのズットナーの代表作が、『武器を捨てよ!』である。

 

女性初のノーベル平和賞受賞者、ベルタ・フォン・ズットナー

 

いま折しもロシア軍の侵攻によって、ウクライナで戦争状態に陥っている。連日の報道に胸が痛むばかりだ。破壊された街並み、難民として自国からの退去を余儀なくされる幾百万の人々。何の罪も無い子供や女性を含む、一般市民の死者も増えている。

 

家族と離れて前線で戦うウクライナ兵や男達も、どれほど悲痛な覚悟で、銃火を交えていることだろう。ロシア兵にしてもそれほど士気は高くないそうだし、軍人として上官の命令に逆らえず、複雑な思いで戦場にいる者も多いのではないか。それら兵士の一人ひとりに妻や子がおり父母・兄弟などがいて、どういう思いで我が子を戦場に送り出したことだろう。

 

ゼレンスキー・ウクライナ大統領と、プーチン・ロシア大統領の、双方の主張には隔たりが大きく、即時停戦への交渉は難航している。いかなる理由があろうと、人命を軽視するとともに、一方的に軍事侵攻をしたプーチンに対し、国際世論からの非難は当然だ。世界の大国として範を示すべき立場にありながら、このような暴挙に出たことは、必ずや歴史の審判を受けるであろう。

 

しかし、いかなる大義名分があったとしても、民衆の命が犠牲になることは断じてあってはならない。事は、ウクライナとロシア二国だけの問題ではない。第三次世界大戦への危険性、核兵器の使用、全面核戦争の懸念、といった不安な言葉まで散見されるこの頃である。

 

アメリカのバイデン大統領は自制を訴えているが、NATO諸国や米軍がへたに動いてしまえば、戦争はエスカレートし世界を巻き込んでいく恐れは充分にある。ロシア側のみならず双方の指導者には、人命保護を最優先し、慎重かつ冷静さを取り戻してほしい。一刻も早く平和的な戦争終結を望みたい。

 

三代の会長が叫んだ、「軍事的競争の時代から、人道的競争の時代へ」「地球民族主義」とあるように、この小さな青き地球に住む同じ人間として、いがみ合い殺し合うことがいかに愚かなことか。

 

国を失い家を滅ぼさば、
いずれの所にか世を遁(のが)れん。
汝、すべからく一身の安堵を思わば、
まず四表の静謐(せいひつ)を禱(いの)るべきものか。
(立正安国論 新版44㌻)

 

「我が身の安泰を願うのであれば、世界の平和・安穏を祈るべきである」との仰せである。まして創価の題目を唱える人は、地涌の菩薩であり仏である。その自覚も深く、「広宣流布 即 世界平和」をいよいよ強盛に祈っていく決意である。

 

 


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