信心が試される時(2)

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以下は尸毘王のあらすじです。

寿命の残り少なくなった帝釈天が天上の世界から地上の世界に降りてきて、人間たちの中に本物の菩薩を探すがなかなか見つからない。
「このままでは仏法が衰滅する」と心配し悩んでいる。
世界に菩薩がいないことは仏法が衰えるしるしだからだ。

ところが毘首羯磨天【びしゅかつまてん】から尸毘王こそ本物の菩薩であると聞かされて、さっそく、本物かどうかを試すため、それぞれ鷹と鳩【たかとはと】に化【ば】けて、尸毘王のところに行く。

丁度その時、尸毘王は「救いを求めてきた者をすべて救い切る」との誓いを立て精進していた。
その尸毘王のもとへ鷹に追われた鳩が逃げ込んできて、助けを求める。
「私はすべての生き物を守るという誓いを立てている。
 私に救いを求めている以上、鳩はお前には渡さぬ」

それを聞いた鷹は、こう言うのだ。
「ほう、一切の生き物を救おうとの誓いを立てたというのか。
 それならば、この俺のことも救ってもらいたい。
 食べ物が無くなれば、俺も生きてはいけないのだから」
それを聞いた尸毘王は鷹に食べ物を与えようとするが、鷹が望む食べ物とは、「殺したての温かくて新鮮な肉」でなければ食べられないという。

誓いを破る訳にはいかない尸毘王は、他の生き物を殺して与えることもできず、迷いなく自分の体の肉を刀で切り取って秤【はかり】に載せたのである。
秤の一方には体から切り取った肉、てんびんの他方の皿には鳩が載せられたのだが、切り取って載せても載せても鳩の方が重く、そちらに傾いているのだ。
もはや尸毘王の体は血まみれとなり、両腕、両足の肉、両方の尻、胸の肉、背の肉・・・・次々と切り取って、とうとう身体全部の肉を尽くしたが、鳩の身はますます重くなり、王の肉はますます軽くなっていった。

そこで意を決した尸毘王は、
「私は今、自分の身をもって仏道に変えようと思っているのです」
と呟【つぶや】いて、我が身をてんびんの皿に載せたのである。
する驚いたことに、秤は水平になったのである。
するとまさにその時、宮殿内に香しい甘露の雨が降りだし、外には一面に花が咲き渡り花弁が舞っているではないか。

鷹の姿から本来の姿に戻った帝釈天はこう言って褒め称えた。
「たった一羽の小鳥のためにすら、そのように身を投げ出して救おうとされた。
 これはまことに得がたいことである。
 これが菩薩でなくてなんであろう。
 必ず速やかに仏になられるであろう」

尸毘王は大歓喜に涙し身を振るわせた。
そして、その身体は帝釈天の神力により、もとの傷1つ無い元気な体に復活していたのである。

(つづく)

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