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読後のちょっとした感想(書庫)

2006年(H.18年)

平成18年12月26日更新

注意: 星印の評価はあくまで私の主観と好みによるものですので、当然ながら誰が読んでも当てはまる事を保証するものではありません。


●『精神病棟の二十年』 松本昭夫著/新潮文庫1月10日読了
☆☆☆ ふつう
 精神障害を持っている友人に勧められて読み始めた。著者は早稲田大学仏文科卒業で現在70歳になろうという詩人。20歳ぐらいで統合失調症を発病しているので、かれこれ精神病歴50年になるという人だ。北海道で詩人協会にも所属し、新聞社などが主催する詩のコンテストでも何度か入賞している。
 この著者はフロイドの精神分析に傾倒しており、精神疾患への罹患【りかん】原因を、自身の体験からも性や異性関係に由来するものだとの持論を言っている。しかしこれは、私はそのように思われる節が無い訳ではないが、率直な所、著者の勉強不足や安易な決めつけが無いのかどうか、疑わしいところである。
 そういう疑問は残るものの、同じ北海道在住の作家ということと、今では廃れてまったく行なわれていない、電気ショック療法を自ら体験したり、インシュリン・ショック療法やロボトミー手術を見聞きしているということで、その体験は生々しく読んだ。
 前述の性の観点の著者の持論からか、恋人への嫉妬からの性的妄想により、傷害事件に至る場面を詳細に描いている。その類の性的妄想の描写が多く見られ、知識が無い人がこの病気を知ろうと読んだ場合に、病気に対するかなりの誤解を与える可能性は拭い去れないと思う。単純に読み物として見た場合には、詩人が書いた小説でもあり、特に精神医療の現場を知らない読者は、面白く読めるかもしれない。


●『上達するヒント』羽生善治著/浅川書房
(1月24日読了)
☆☆☆☆☆ 大変良い
 目次は次の通り。

 基本方針と形勢判断―四つの判断基準
 構想について―その方向性は正しいか
 歩の下に駒を進める―駒の力を引き出すには
 駒がぶつかったとき―損得のバランスを考える
 位取りについて―五段目の歩の大きな力
 主戦場について―戦う場所の選択
 玉の安全度について―囲いの強さ、囲うタイミング
 さばきについて―量より質のテクニック
 厚みについて―戦わずして勝つ方法
 スピードについて―将棋の質が変わる:攻めの継続―指し切りの局面を作らない
 進展性について―自分の進展性と相手の進展性
 陣形について―必ず崩されるという覚悟


 今まで読んだ将棋の本の中で、最も新しい観点と言葉で、トップ棋士の技術と考え方を、アマ初段クラスにも分かる形で解説している。難解過ぎず、冗長過ぎず、初めから終わりまでグッとつかんで離さないといったパワーがある本だった。
 私は倶楽部24の最下位クラスでほとんど白星が上がらない低迷期だったが、この本を読み始めてから、俄然、勝ちが増えてきたようだ。
 地元の図書館で購入してもらい読んだのだが、できれば自分で買って何度でも読み直したい棋書である。



●『決断力』羽生善治著/角川oneテーマ21(2月12日読了)
☆☆☆☆ 良い

 ―――以下は本文からの抜粋―――

 <p.69 2行目>
 決断は自分の中にある
 物事を進めようとするときに、「まだその時期じゃない」「環境が整っていない」とリスクばかりを強調する人がいるが、環境が整っていないことは、逆説的にいえば、非常にいい環境だといえる。リスクを強調すると、新しいことに挑戦することに尻込みしてしまう。リスクの大きさはその価値を表しているのだと思えば、それだけやりがいが大きい。そちらに目を向ければ、挑戦してみようという気持ちも起きてくるのではないだろうか。
 将棋で大事なのは、判断であり決断である。私は、決断をするときのよりどころは自分の中にあると思っている。王をとるか、とられるかの厳しい局面では、最終的に自らリスクを負わなければならない。そういうところでの決断には、その人の本質が出てくるのだ。
 何事でも、決断し、挑戦してみないと、結果がどうなるかは分からない。
 (中略)
 将棋では、序盤で主導権を握り、中盤以降は上手に手を渡すというのが、勝負のツボの一つである。終盤の攻め合いの中で、「どうぞ私を斬ってください」と相手に首を差し出すことはリスクがあるし、勇気が求められる。今の若手棋士たちは、そういった場面でも臆することなく突き進んでくる。

 決断とリスクはワンセットである
 (中略)
 二人の剣豪が決闘を始めたとする。立ち合ったときは距離が離れているが、間合いを詰めていって勝負が決まる。お互いに離れていては勝負がつかないから、前へ進まなくてはいけない。前に進むとそれだけ危険が迫る。怖いから下がりたい気持ちになるだろうが、一歩下がっても、相手に一歩間合いを詰められるだけだ。状況は変わらない。逆にいうと、下がれば下がるほど状況が悪くなるのだ。怖くても前へ進んでいく、そういう気持ち、姿勢が非常に大事だと思っている。
 決断とリスクはワンセットである。
 (中略)
 リスクを避けていては、その対戦に勝ったとしてもいい将棋は残すことはできない。次のステップにもならない。それこそ、私にとって大いなるリスクである。いい結果は生まれない。私は、積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると、いつも自分に言い聞かせている。

 <p.155 6行目>
 私は、今の時代は、いろいろなことが便利になり、近道が非常に増えた時代だと思っている。何かをやろうと思ったときに、さまざまな情報があり、安易な道、やさしい道が目の前に数多くある。楽に進める環境も充実している。昔は、遠い、一本の道しかなかった。そのため、選択の余地なくその道を歩んだけれど、今は近道が他にたくさんできている。わざわざ一番遠い道を選んで行くのは損だという思いにかられる。その横では近道で通り過ぎてゆく人がたくさんいるのだから。自分自身で、「何をやっているのだ」と思うこともあるだろう。逆に、昔よりも選択が難しい時代なのかもしれない。しかし、遠回りをすると目標に到達するのに時間はかかるだろうが、歩みの過程で思わぬ発見や出会いがあったりする。将棋でも、直接対局に関係ないように思えることが、あとになってプラスになったということはいろいろある。対局で、未知の場面に遭遇したときには、直接的な知識や経験以外のものが役に立ったりするのだ。
 若いころ、一人で考え、学んだ知識は、今の将棋では古くなり、何の役にも立たない。だが、自分の力で吸収した考える力とか未知の局面に出会ったときの対処の方法とか、さまざまなことを学べたと思っている。私は、自ら努力せずに効率よくやろうとすると、身につくことが少ない気がしている。近道思考で、簡単に手に入れたものは、もしかしたらメッキかもしれない。メッキはすぐに剥【は】げてしまうだろう。



●『コーチングのプロが教える「ほめる」技術』 鈴木義幸著/日本実業出版(2月14日読了)
☆☆☆☆ 良い

 「部下を接待する」ということも言われてみれば斬新な考えだし、「人の性格はコントローラー、プロモーター、サポーター、アナライザーの4つに分類できる」「その4つの性格それぞれに対する、効果的なほめ方」があるということも具体例があって分かりやすかった。
 著者のアメリカでの女子刑務所でのカウンセリング体験も感銘した。
 現代は若者や子どもを「叱って伸ばす時代ではなく、ほめて伸ばす時代」だとよく言われる。だが、意外と効果的にほめることが難しいのは、多くの人が経験していることだと思う。コーチングのプロという立場から、「ほめる」ことに特化してその技術を、さまざまな具体例を通して論じている。
 本自体のつくりも良く、書き方も面白く読みやすく書かれていて非常に良いと思う。さらにシンプルな図解が入れば申し分ないが、分量的に厚くなるので、これが妥当な所だろう。
 「ほめる技術」とあるが、読後の感想は「ほめる心」と言い換えてもいいような内容で、企業・団体等で指導的な立場にある人や教育者や親等にも、とても参考になる本だと思う。


●『統合失調症の薬がわかる本』/八木剛平著/全家連(3月5日読了)
☆☆☆ ふつう

 慶応大学医学部助教授の著者が、統合失調症の薬についてさまざまな視点から述べた本だ。
 薬は毎日体に取り入れ何年も、時には数十年に渡って服用することがあるものだ。それだけ当事者にとっては、薬に対する関心は高いと思う。
 薬の強さを判定する、クロルプロマジン換算方法についても詳しく書かれてある。さまざまな精神薬の効能や副作用については論述がやや少ないものの、減薬の仕方や、医者はどのような考えで処方しているのかなどが詳しく書かれてあり、薬についての知識は確実に深まると思う。
 新薬についての記述もあるが、図解などが豊富であればもっと分かりやすいと思う。
 著者の、統合失調症の病因に対する考え方がかなりのページが割かれており、ドーパミン説などの種々の病因説を「原因のアラ探し」「脳のアラ探し」として、あくまでも仮説であることを正直に認めている部分も興味深い。


●『図解雑学 ソフトウェア開発』/西川猛史著/ナツメ社(3月18日読了)
☆☆☆ ふつう


●『どん底からの成功法則』/堀之内九一郎著/サンマーク出版(3月22日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『あせらず・のんびり・ゆっくりと 〜病気・くすり・くらし〜』/全家連/(統合失調症を知る心理教育テキスト当事者版)(4月9日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『上手なコーチング が面白いほど身につく本』/山崎和久著/中経出版(4月11日読了)
☆☆☆ ふつう


●『相手がわかるように 教える技術』/戸田昭直著/中経出版(4月13日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『経営学 のことが面白いほどわかる本』/笠原英一著/中経出版(4月13日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『生命と仏法を語る 上巻』/池田大作著/潮出版社(4月25日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『女の一生』/モーパッサン著/新庄嘉章訳/新潮文庫(4月27日読了)
☆☆☆☆☆ 大変良い


●『こころに効く 小説の書き方』/三田誠広著/光文社(5月30日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『羽生の法則 vol.2〜金銀の手筋』/羽生善治著/日本将棋連盟(6月6日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『政治家になるには』/細川珠生著/ぺりかん社(6月9日読了)
☆☆☆ ふつう


●『価格と原価 のすべてがわかる本』/城戸宏之著/総合法令(6月27日読了)
☆☆☆ ふつう


●『精神病棟に生きて』/松本昭夫著/新潮文庫(6月27日読了)
☆☆☆ ふつう



●『どんどん顧客が集まる 魔法の手紙DM』/黒田浩司著/中経出版(8月11日読了)
☆☆☆ ふつう


●『黒田如水』/吉川英治著/六興出版、昭和47年11/30初版(8月17日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『「生命の世紀」への探求』/L・ポーリング、池田大作著/聖教文庫(8月31日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『政治学概論 第2版』/山川雄巳著/有斐閣ブックス(9月1日読了)
☆☆☆☆☆ 大変良い

 難解な部分もあるにはあったが、概【おおむ】ね面白く読むことができた。
 私は高専の電気工学科、大学の教育学部と卒業してきたが、短大や大学の教科書や文献として出会った数百冊の中で、最初の1ページから最後の1ページまで通して読んだのは、記憶をたどってみてもこれが初めてだと思う。本文だけで469ページというボリュームが、ほとんど苦にならなかった。とにかく読んでいて面白かった。
 これ程の内容の本をまた読めたということは、新たな自信になるだろう。


●『プロカウンセラーの 聞く技術』/東山紘久著/創元社(9月8日読了)
☆☆☆☆ 良い



●『司法書士受験心得 100問100答』/登記法務研究会/日本司法書士受験普及会(9月14日読了)
☆☆☆ ふつう


●『社長業の心得』/田中要人著/日本経営合理化協会(10月25日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『数学の学び方・教え方』/遠山啓著/岩波新書/’72年5月31日1刷(11月2日読了)
☆☆☆☆ 良い



●『幻覚』/渡辺淳一著/中央公論新社(11月17日読了)
☆☆☆ ふつう

 これも友人から勧められて、渡辺淳一のものとしては初めて読んだ。次は一体どうなるんだろうという面白さはあった。
 主人公が精神科に勤める男性看護師と院長である若い美貌の女医という設定は、面白いと言えば言えるが、いかにも読者の興味をそそるためだけの、作者の狙いが透けて見える気がする。
 倫理道徳的にも人間の背徳の行ないを物語の骨格としていて、低級さが露呈している感は否めない。思想・哲学的にも浅薄で、その点では読後何も得るところが無かった。
 悲劇であるからしようがないのだが、結末も無理に救いをこじつけているようで、読後感も「よかった〜感動した」というよりは「一つの長編をやっと読み終えた〜」という感慨だけが強かった。
 以上、やや辛口の批評となったが、読んでいる間はテレビ映画でも見ているような面白さは味わえた。


●『十二番目の天使』/オグ・マンディーノ著、坂本貢一訳/求龍堂(11月28日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『作家になるには』/永江朗著/ぺりかん社/’04年12/25初版(11月29日読了)
☆☆☆☆ 良い


●『日蓮大聖人御書十大部講義 開目抄 下』 戸田城聖著/池田大作補訂/聖教新聞社(12月19日読了
☆☆☆☆ 良い


●『法華経 並開結 (上)』/創価学会教学部編/聖教文庫(12月26日読了)
☆☆☆☆☆ 大変良い

 '99年4月25日に読み始めたので、まだ上巻だけであるが約7年半かかって読了したことになる。法華経の八巻28品を、ページ上半分を白文、下半分を読み下し文として、開結の2経と合わせて全文を読むことができる。
 読み始めたきっかけは、青年教学試験2級を受験した時に、講師の方が手に持って見せてくれ、私も法華経を一度28品を通して読んでみたいと思っていて良い本がないか丁度気にかけていたところだったので、すぐに購入した。
 諸経の王と言われる法華経である。まだ上巻しか読んでいないが、そのスケールの壮大さ、比喩【ひゆ】の巧みさ、詩として文学としてみても、人類の至宝であることが、読んでいてひしひしと感じられてくる。
 この釈尊の法華経は経文とはいえ「文上」であるから、末法には経としての功力【くりき】を失ってしまっている。日蓮大聖人の「御義口伝」に基づいた「文底」の立場からの研鑽の姿勢が重要である。
 とは言え、「文上」をあたかも御本尊の説明書の一つとして捉えるならば、御本尊への確信と歓喜を深める一助として、大変有益な一書だと思う。この法華経を読むことによって、御書の拝読もより深く読み込んでいくことが可能になるであろう。

(本年31冊/通算328冊)



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