不可惜所領事(1)

この記事は約2分で読めます。

「『法華経の信心を捨てる』との起請文を書け、さもなくば所領を没収する」との主君・江間氏から命令を受けるという、最大の苦境にあった四条金吾は、断じて負けませんでした。

結論を先に言えば、大聖人のご指導を実践し切って、この苦境を乗り越えた四条金吾は、主君からの信頼を取り戻し、今までの3倍の所領を賜【たまわ】るという実証を示しました。
これも「例え乞食になるようなことがあったとしても、法華経に傷をつけることはしない」との深い覚悟の信心で戦った結果でした。

3倍の所領という経済次元、生活次元での実証も確かに見事な実証ですが、それ以上に「心こそ大切なれ」との信心という「心の財」を、果敢に護り切り実証をもって宣揚した模範の姿が後世への鑑【かがみ】となったのです。


そもそも金吾にとってこの苦境は、大聖人の弟子・三位房が、鎌倉の人々が惑わされていた竜象房の邪義を破折した法論に同席したことがきっかけでした。
実際は、金吾は一言も発することなく、法論を見守っていただけでしたが、後日、「金吾が徒党を組んで刀を帯びて法論の場に乱入した」との虚言が流されたのです。

それを耳にした主君の江間氏が四条金吾に対して、「法華経を捨てるとの誓状を書け。さもなくば所領を没収し、家臣から追放する」と命じたのです。
所領没収は、武門の恥であり、生活の糧を奪われる苛酷なものでしたが、金吾は決然と信心を選び取り、大聖人に報告します。

その金吾からの書状に対し日蓮大聖人が、金吾に代わって江間氏への長文の弁明書「頼基陳状」を認められ、頼基(=金吾)を妬んだ者たちのつくり事【ごと】である、と主君の疑惑を晴らし、仏法の正義を示されます。
この陳状に添え、金吾が“決して誓約書は書かない” “法華経は捨てない”と毅然と誓ったことを、大聖人が讃えられたお手紙が、この「不可惜所領事」です。

(つづく)

ご投票宜しくお願いします↓
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 創価学会へ
にほんブログ村


コメント